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若 紫
2005/11/18 15:00:22瀏覽8224|回應216|推薦27
  紫上の物語(一) 若紫の君登場、三月晦日から初夏四月までの物語

  三月晦日、加持祈禱のため、北山に出向く


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  瘧病にわづらひたまひて、よろづにまじなひ加持など參らせたまへど、しるしなくて、あまたたびおこりたまひければ、ある人、「北山になむ、なにがし寺といふ所に、かしこき行ひ人はべる。去年の夏も世におこりて、人びとまじなひわづらひしを、やがてとどむるたぐひ、あまたはべりき。ししこらかしつる時はうたてはべるを、とくこそ試みさせたまはめ」など聞こゆれば、召しに遣はしたるに、「老いかがまりて、室の外にもまかでず」と申したれば、「いかがはせむ。いと忍びてものせむ」とのたまひて、御供にむつましき四、五人ばかりして、まだ暁におはす。




  やや深う入る所なりけり。三月のつごもりなれば、京の花盛りはみな過ぎにけり。山の桜はまだ盛りにて、入りもておはするままに、霞のたたずまひもをかしう見ゆれば、かかるありさまもならひたまはず、所狹き御身にて、めづらしう思されけり。


  寺のさまもいとあはれなり。峰高く、深き巖屋の中にぞ、聖入りゐたりける。登りたまひて、誰とも知らせたまはず、いといたうやつれたまへれど、しるき御さまなれば、


  「あな、かしこや。一日、召しはべりしにやおはしますらむ。今は、この世のことを思ひたまへねば、験方の行ひも捨て忘れてはべるを、いかで、かうおはしましつらむ」


  と、おどろき騒ぎ、うち笑みつつ見たてまつる。いと尊き大徳なりけり。さるべきもの作りて、すかせたてまつり、加持など參るほど、日高くさし上がりぬ。





( 心情隨筆愛戀物語 )
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若 紫
2005/11/22 15:37





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若 紫
2005/11/22 15:37


  「海龍王の后になるべきいつき女ななり」
  「心高さ苦しや」とて笑ふ。


  かく言ふは、播磨守の子の、蔵人より、今年、かうぶり得たるなりけり。


  「いと好きたる者なれば、かの入道の遺言破りつべき心はあらむかし」
  「さて、たたずみ寄るならむ」


  と言ひあへり。


  「いで、さ言ふとも、田舎びたらむ。幼くよりさる所に生ひ出でて、古めいたる親にのみ従ひたらむは」



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若 紫
2005/11/22 15:36





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若 紫 
2005/11/22 15:35


  「母こそゆゑあるべけれ。よき若人、童など、都のやむごとなき所々より、類にふれて尋ねとりて、まばゆくこそもてなすなれ」


  「情けなき人なりて行かば、さて心安くてしも、え置きたらじをや」


  など言ふもあり。君、


  「何心ありて、海の底まで深う思ひ入るらむ。底の「みるめ」も、ものむつかしう」



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若 紫
2005/11/22 15:33





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若 紫
2005/11/22 15:32


  などのたまひて、ただならず思したり。かやうにても、なべてならず、もてひがみたること好みたまふ御心なれば、御耳とどまらむをや、と見たてまつる。


  「暮れかかりぬれど、おこらせたまはずなりぬるにこそはあめれ。はや帰らせたまひなむ」



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若 紫
2005/11/22 15:32


  とあるを、大徳、


  「御もののけなど、加はれるさまにおはしましけるを、今宵は、なほ靜かに加持など參りて、出でさせたまへ」と申す。


  「さもあること」と、皆人申す。君も、かかる旅寝も慣らひたまはねば、さすがにをかしくて、


  「さらば暁に」とのたまふ。




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若 紫
2005/11/22 15:30


  源氏、若紫の君を発見す





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若 紫
2005/11/22 15:28


  人なくて、つれづれなれば、夕暮のいたう霞みたるに紛れて、かの小柴垣のほどに立ち出でたまふ。人びとは帰したまひて、惟光朝臣と覗きたまへば、ただこの西面にしも、仏据ゑたてまつりて行ふ、尼なりけり。簾すこし上げて、花たてまつるめり。中の柱に寄りゐて、脇息の上に経を置きて、いとなやましげに読みゐたる尼君、ただ人と見えず。四十余ばかりにて、いと白うあてに、痩せたれど、つらつきふくらかに、まみのほど、髪のうつくしげにそがれたる末も、なかなか長きよりもこよなう今めかしきものかなと、あはれに見たまふ。



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若 紫
2005/11/22 15:28





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