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テレビ連続ドラマ 《台湾水利先駆者 八田與一と外代樹夫妻》17
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テレビ連続ドラマ

《台湾水利先駆者 八田與一と外代樹夫妻》17

【第十六回】

1、日中の場面

時:大正十二年十月某日の午前

場所:烏山頭出張所事務所

人物:阿部貞壽、藏成信一、林信義、中島力男

烏山頭事務所で、林信義が事務用文具を片付けている。

信一:「所長が作成したリストラ名簿の中に、どうして林君や中島力男君まで入っているんだ?能力のある職員までこの解雇名簿に入っているなんて?」

林信義:「昨夜、所長がわざわざ私の宿舎まで来て、事前に知らせてくださいました。」

阿部:「そうなんだ!さっきこの解雇名簿を見て、私も混乱したよ!これは変じゃないか?普通なら能力のある者を優先して残して、能力の低い者を解雇するものじゃないのか?所長の人事の考え方が全く分からないよ!」

林信義:「私もこの問題について考えました。確かに能力のある人を残すべきですが、所長の言うことを考えると、私たち能力のある者は、たとえ解雇されてもすぐにまた仕事を見つけられるはずです。一方で能力の低い仲間たちは、再び仕事を見つけるのがそれほど簡単ではありません。一度所長が能力の低い者を解雇すれば、彼らは仕事を失い、その家族もまた苦しむことになります。だから能力の高い者を解雇するのだと。所長はさらに、この解雇される職員たちについては、できる限り新しい仕事を紹介するよう尽力すると言っていました。所長の思いやりは十分理解できます!」

信一:「おお?そういうことなら、所長のやり方は人道的配慮によるものだな。我々も確かに理解すべきだ。」

林信義:「はい!所長の器量と視野は、私たちの想像よりもずっと広いです。お二人は心配しないでください。私は所長から長期休暇をもらったと考え、休暇が終わればまた烏山頭に戻ってきます。」

阿部:「力男、お前はどうする?ここを離れた後の予定は?」

力男:「所長が私を大倉土木組に紹介してくれて、現場主任を務めることになりました。」

阿部:「それはつまり二段階降格ということじゃないか?給料も三分の一くらい減るのでは?」

力男:「このご時世、どこも人員削減です。仕事があるだけでありがたいです。降格なんて大した問題ではありません。」

2、日中の場面

時:大正十二年十月某日の午前

場所:大内庄採土場横の事務所

人物:八田與一、藏成信一、阿部貞貞壽、解雇された職員たち

烏山頭出張所前。

與一:(山根に名簿を渡す)「阿部技師、この名簿に載っている人たちに連絡して、ここへ来るようにお願いできますか?解雇手当は多くはありませんが、私が直接手渡ししたいのです。」

事務所の外に十数人の職員が並んでいる。與一は一人一人に解雇手当の袋を手渡す。

與一:(深く腰を曲げて丁寧に礼をする)「本当に申し訳ありません!しばらくここを離れていただくことになります。皆さんにご迷惑をおかけします。工事が全面的に再開された時には必ず優先的にお知らせしますので、今はどうかご辛抱ください。」

そう言いながら、與一は涙を流す。解雇された職員の中から、ある者が前に出て與一の手を握る。

労働者A:「所長、私たち台湾人にそんなに大きなお辞儀をする必要はありませんよ!」

與一:「何を言っているんだ!日本人とか台湾人とか関係あるか?私の心の中では、誰もが平等に尊重されるべきなんだ。」

労働者A:「所長、本当にあなたは尊敬すべき方です!」

3、日中の場面

時:大正十二年十月某日の午前

場所:烏山頭工事現場宿舎区横の空き地

人物:八田外代樹、藏成秀子、王美足、張麗娥ほか数十人の女性と数人の子ども

宿舎区横の空き地で、外代樹、藏成秀子、王美足、張麗娥ら十数人の女性が開墾作業をしており、子どもたちは遊んでいる。

秀子:「この空き地は西門町の林さんの菜園よりずっと広いですね。全部開墾するには一、二か月かかるでしょうね?」

外代樹:「これらのご主人たちは解雇されてしまいました。だからこの土地を開墾して花や野菜を植え、鶏やアヒルを飼い、一部は自分たちで食べ、残りは近くの市場で売れば、少しでも収入になって生活費の足しになると思います。」

王美足:「所長夫人、私の夫は解雇されましたが、私たちは特に不満はありません。所長は夫の仕事も紹介してくださり、家族をそのまま職員宿舎に住まわせてくださいました。それだけでも大きな恩恵です。」

張麗娥:「そうです、所長夫人。今またこうして私たちを率いて空き地を開墾し、野菜や鶏を育てて収入を増やそうとしてくださる。本当に感謝しています。」

外代樹:「皆さん、これからの生活がいつまで続くかは分かりませんが、いずれにせよ復工までの間、できる限り収入源を作れるように、裁縫教室などを開いて服を作り、それを市場で売ることも考えています。」

王美足:「裁縫教室?いいですね!私、一番最初に申し込みます!」

張麗娥:「夫人、本当に私たちの面倒をよく見てくださいます。」

4、夜の場面

時:大正十一年十月某日の午前

場所:職員宿舎区 八田宿舎の寝室

人物:八田與一、外代樹、正子(三歳)、晃夫(一歳半)、綾子(三か月)

夜、宿舎の八田家の寝室で、外代樹が毛糸を編んでいる。三人の子どもはすでに眠っている。

與一:「夫人、仕事帰りに君と秀子が、数十人の職員の奥さんたちと一緒に宿舎の横の空き地を開墾しているのを見たよ。」

外代樹:「はい。あなたが解雇した職員の家族たちのために、何とか収入源を作ってあげたいのです。」

與一:「おお、それはいいことだね。」

外代樹:「空き地を開墾して野菜や鶏を飼うのは第一歩です。裁縫教室や編み物教室も開いて、服を作ったり毛糸を編んだりも教えたいと思っています。」

與一:「うん。場所が必要かもしれないね?」

外代樹:「はい。文康センターの活動室を、先に私たちに貸していただけますか?」

與一:「もちろんだよ。君の考えは私にひらめきを与えてくれた。私は養豚場や牧場を作り、解雇された職員とその家族に運営してもらうことを考えているが、どう思う?」

外代樹:「私に意見を聞く必要はありません。あなたが可能だと思うならやればいいのです。」

與一:「よし!では明日、幹部を集めて会議を開こう。」

5、日中の場面

時:大正十一年十月中旬某日の正午

場所:烏山頭出張所会議室

人物:八田與一、阿部貞壽、藏成信一、白木原民次、湯本政夫、小田省三、小原一策、機田織雄

烏山頭出張所会議室。

與一:「本日の会議の議題は、解雇された職員とその家族のために雇用の機会を作り、生活費の足しとなる収入を得られるようにすることです。」

阿部:「所長、つまりここで何か事業を立ち上げて、解雇された職員や家族に運営させるということですか?」

與一:「その通りです。」

信一:「昨夜、妻の秀子が言っていましたが、所長夫人は菜園を作った後、さらに裁縫教室や編み物教室を開き、解雇された職員の奥さんたちに収入を与えようとしているそうです。」

民次:「所長、その発想はとても創造的です。この状況がいつまで続くか分かりませんが、こうした事業を計画して職員家族に運営させることは、人心の安定にもつながります。」

湯本:「夫人たちがそこまで考えているのなら、我々も何もしないわけにはいきません。近くに森林がたくさんありますので、木材を集めてキノコ栽培用の小屋を建て、椎茸栽培をしてみてはどうでしょう。」

與一:「民次と政夫の意見はどちらも良いですね。では、これから事業計画を整理し、それぞれ分担して実行してみましょう。」

信一:「いいですね!では所長、仕事の割り振りをお願いします!」


6
、薄暮の場面

時:大正十二年十一月中旬某日の午後

場所:烏山頭出張所前、付近の雑木林

人物:八田與一、藏成信一、阿部貞壽、小原一策、湯本政夫、職員の家族・周金德、王川ほか十数名

八田與一と藏成信一が皆を連れて、木を伐り出し、椎茸小屋を建てる準備をしている。

與一:「近くの雑木林へ行って、木の幹を少し切り出して、椎茸小屋を一、二棟建てましょう。」

周金德:「このあたりにはアカシアの木がたくさんあります。地元の農民は特にアカシアや楓香の幹を使って椎茸を栽培するのを好みます。私も若い頃、父と一緒に椎茸を作ったことがあります。」

與一:「それはいいですね。あなたが専門家なら、皆を指導して小屋作りをお願いします。」

周金德:「建材としては、柱には筆筒樹を使い、屋根は芒草を使うとよいでしょう。」

信一:「では二組に分かれましょう。私と阿部、小原一策、周金德の組はアカシアの伐採を担当し、所長と政夫、王川の組は小屋の木材の組み立てを担当します。」

與一:「それでいきましょう。さあ、作業開始です。」

二組に分かれて雑木林へ入っていく。

周金德:(幹に手を触れながら)「藏成長官、この細長い葉の木がアカシアです。」

信一:「分かりやすいな。阿部、のこぎりを。皆さん、枝だけを切って、幹は残してください。木が成長し続けるようにして、将来もまた材が取れるようにします。」

一策:「藏成長官の言う通りです。将来のことを考えなければなりません。漢文にもあります、『青山を残せば、薪に困らず』ですね。」

阿部:「一策君はそれも知っているのか?」

一策:「もちろんです。故郷の京都では子どもの頃から漢文を学びますから。」

信一:「では、皆さん、作業に取りかかりましょう。」

7、薄暮の場面

時:大正十二年十一月中旬某日の午後

場所:雑木林のそばの空き地

人物:八田與一、藏成信一、阿部貞壽、小原一策、湯本政夫、職員の家族・周金德、王川ほか数十名

雑木林のそばの空き地で、皆が手分けして椎茸小屋を建てている。周金德が現場監督のように指示を出している。

周金德:「阿部長官、あなた方の組は編んだ芒草をこちらへ持ってきてください。」

阿部:「はい!」

周金德:「藏成長官、筆筒樹の幹を梁として、一定の間隔で立ててください。」

信一:「はい!」

周金德:「アカシアと楓香の幹は、直線的に交差させて立ててください。」

一策:「はい!」

與一:「金德、さすが専門家ですね。あっという間に形になってきました。」

周金德:「所長、あなたが水利工事や大きなダムを作るのに比べれば、私のは小さな仕事です。恥ずかしい限りです。」

與一:「私はそうは思いません。どの仕事にもそれぞれの専門があります。」

8、薄暮の場面

時:大正十二年十一月中旬某日の午後

場所:官田庄の夕市

人物:八田與一、藏成信一、王美足、張麗娥

八田與一と藏成信一が、王美足と張麗娥を連れて官田庄の夕市で野菜を売っている。

與一:(大声で)「新鮮な野菜と果物をどうぞ!」

信一:「自家栽培で無農薬です。安心して食べられます!」

次第に客が集まり始める。

與一:(片手にサツマイモ、片手に里芋を持ち上げて)「このサツマイモと里芋は鶏糞肥料で育てました!大きくて立派です!」

信一:「烏山頭で育てたキャベツと白菜、とても甘くてシャキシャキです!」

客A:「この里芋はいくらですか?」

王美足:「一斤二角です。」

客B:「白菜を一つください。」

張麗娥:「一つ一角です。」

客C:「かぼちゃを一つ。」

信一:「一つ二角です。とても甘いですよ!」

與一:(大声で)「さあどうぞ!新鮮な野菜ですよ!」

9、日中の場面

時:大正十二年十一月中旬某日の午後

場所:烏山頭宿舎区横の文康センター活動室

人物:外代樹、秀子、王美足、張麗娥ほか数十名の女性

文康センターの活動室で、外代樹と秀子が女性たちに編み物を教えている。外代樹が平編みを実演し、秀子が指導している。

外代樹:「まず平編みを覚えれば、マフラーが編めるようになります。」

王美足:「所長夫人、さっきの手本を見ると、そんなに難しくなさそうですね。」

外代樹:「難しくありません。平編みの次は丸編みを覚えて、長い手袋も作れます。二、三か月もすれば服やズボンも編めるようになります。」

張麗娥:「そんなに早くですか?」

秀子:「コツはそれほど多くありません。私と所長夫人で流行のデザインをいくつか作って、皆さんの参考にします。」

王美足:「作った服は市場で売れるんでしょうか?」

外代樹:「まずは試してみることです。客の反応を見て新しいデザインを考えます。」

張麗娥:「そうなると毎日忙しくなりますね。」

王美足:「収入が増えるなら、どれだけ忙しくても構いません。昨日の夕方、官田の夕市にトラック一杯の野菜を持って行ったら、すぐに売り切れました。」

張麗娥:「そうですね。宿舎で暇にしているより忙しい方がいいです。昨日の夕市での所長と藏成技師の呼び込みは本当に見事でした。」

秀子:「え?二人とも物怖じしなかったの?」

王美足:「全然。所長なんて誰よりも大きな声で呼び込みしていました。」

外代樹:「それが本当の八田所長ですね。」

10、夜の場面

時:大正十一年十月某日の午前

場所:職員宿舎区 八田宿舎の居間

人物:八田與一、外代樹、正子(三歳)、晃夫(一歳半)、綾子(三か月)

夜、宿舎の居間で外代樹がミシンを踏み、綾子は竹の揺りかごで眠り、正子と晃夫は積み木で遊び、與一は公文書と報告書を読んでいる。

外代樹:「あなた、昨日信一さんと一緒に奥さんたちを連れて官田の夕市で野菜を売っていたでしょう?とても評判が良かったそうですよ。」

與一:(顔を上げて)「そうか?大したことじゃないよ。客を呼び込むだけだ。商売なんてそんなものだろう?」

外代樹:「私はてっきり、あなたたち男二人が恥ずかしがるかと思っていました。」

與一:「そんなことはないさ。市場に行ったことくらいある。私は農家の出身だぞ。」

外代樹:(微笑んで)「それは確かにそうね。」

與一:「ただ、こんな生活がいつまで続くのか、それが心配だ。工事はいつ再開されるのだろう。」

外代樹:「あなたはできることをすべてやったのだから、工事の遅れはあなたの責任ではありません。」

與一:「もしかしたら、大圳管理人の枝徳二と一緒に総督府へ行き、新総督の内田嘉吉に会って、いつ全面再開できるのか聞くべきかもしれない。」


16
、日中の場面

時:大正十二年十二月上旬の週末

場所:烏山頭職員宿舎区・藏成信一宿舎の庭

人物:八田與一、藏成信一、大志(5歳)、簡吉、簡大春、阿部貞壽

藏成信一の宿舎の庭で、簡大春が阿部と信一に独楽(こま)の回し方を教え、簡吉は與一に独楽の削り方を教えている。

阿部:「大春、お前は何歳のときから独楽を回すのを覚えたんだ?」

大春:「だいたい大志と同じくらいの年齢のときに、おじいちゃんに教わって始めました。」

阿部:「じゃあ、俺はどのくらい練習すればお前みたいにできるようになるんだ?」

大春:「阿部おじさんは不器用だから、藏成おじさんのほうがあなたより早く覚えますよ。」

簡吉:「阿部技師、子どもの言うことですから気にしないでください。」

阿部:(笑って)「大春の言う通りだな。確かに俺は少し不器用だ。」

與一:「簡吉、もし私の見立てが間違っていなければ、君は彫刻の出身だろう。」

大春:「八田おじさん、その通りです。父は昔、仏像を彫る職人でした。」

與一:「やはりそうか。さっき君が独楽を削る様子を見ていたが、彫刻の腕前は相当なものだね。正直に言うと、私も仕事の合間に木彫りの人形を作るのが好きなんだが、君と比べれば素人の域だよ。」

簡吉:「所長、そんなご謙遜を。」

信一:「簡吉、時間があれば所長と技を競い合ってみたらどうだ?」

簡吉:「とんでもない、私などただの拙い技にすぎません。」

與一:「簡吉、私はむしろ君は実力を隠していると思うがね。」

信一:「それなら簡吉、いっそ人形を一対彫って、所長と夫人に贈ったらどうだ。あなたに仕事を与えてくれたお礼として。」

簡吉:「それはいいですね。ちょうど所長への感謝の気持ちをどう表せばいいか悩んでいたところです。」

信一:「後で所長夫人に結婚写真を一枚もらってくる。それを参考にすればいい。」

簡吉:「ありがとうございます、藏成技師。」

17、日中の場面

時:大正十二年十二月中旬の週末

場所:彰化支庁・導水路工事現場

人物:白木源民次、鹿島組現場監造・藤原有紀、鹿島組作業員、地元保正・廖少康と農民数十名

彰化支庁の導水路工事現場で鹿島組の工事が進められている。そこへ保正・廖少康が農民数十人を率い、鍬や土かごを担いで手伝いに来る。

廖少康:「藤原監造、村の若い者を連れて手伝いに来ました。」

藤原:「ご厚意に感謝します。最近は総督府の工事補助金がまだ下りず、作業員は二か月も給料をもらえていません。」

廖少康:「その話を聞いて、村で相談した結果、この大圳組合が困難な時期には力を貸すべきだという結論になりました。」

藤原:「それで今回、これほど多くの人手が集まったのですね。」

廖少康:「この工事が将来の生活を良くするためのものだと村人は理解しています。だから積極的に参加しています。後ほど近隣の村の保正や甲長たちもさらに人手を連れて来ます。」

藤原:「ただ最初に申し上げますが、我々には皆さんに茶や軽食を出す余裕がありません。」

廖少康:「事情は理解しています。私たちが茶と軽食を持ってきました。一緒にいただきましょう。」

藤原:「そこまでお気遣いとは、どう感謝すればよいか分かりません。」

廖少康:「遠慮はいりません。自分たちの故郷のために力を出しているだけです。」

18、薄暮の場面

時:大正十二年十二月中旬の週末

場所:大圳組合・台南州本部管理人事務室

人物:八田與一、枝徳二、山形要助

台南州本部管理人事務室。

與一:「枝管理人、今回の組合補助金削減は、いつまで続くのでしょうか?」

枝徳二:「詳しいことは分かりませんが、新任の内田総督は民政長官の経験もありますから、進行中の大規模事業を重視してくれるはずです。」

與一:「一度、台北の総督府へ行ってみるべきでしょうか?」

枝徳二:「気持ちは分かります。農民たちも工事がいつまで延びるのかと不安にしています。」

與一:「せめて総督府から明確な見通しを出してもらわなければ、ただ待つだけではいられません。必要なら民間からの募金も考えます。」

枝徳二:「ただし、総督府が短期的に答えを出せない場合に限り、募金や組合の資金分配を検討することになります。これらは農民負担にもなり得るため慎重に扱う必要があります。」

與一:「枝管理人は相変わらず慎重ですね。」

枝徳二:「八田所長、こういう時こそ冷静さが必要です。」

19、日中の場面

時:大正十二年十二月中旬の週末

場所:総督府土木局局長室

人物:八田與一、枝徳二、山形要助

総督府土木局局長室。

山形:「お二人の用件は把握しています。」

枝徳二:「局長、工事補助金はいつ頃支給されるのでしょうか?」

山形:「私も皆さんより焦っています。総務長官の賀来に要請し、予備金の支出を求めていますが、大規模工事を止めるべきではありません。」

與一:「もし三年五年と遅れるなら、優秀な人材が民間に流出してしまうのが心配です。」

山形:「八田所長、私も最善を尽くしています。まずは帰ってお待ちください。」

枝徳二:「もし本当に短期間で支払いができないなら、我々で資金を調達するしかありません。」

山形:「資金調達とは、大圳組合で建設公債を発行するという意味ですか?」

枝徳二:「そうです。工事を止めるわけにはいきません。農民の負担もありますが、現場は限界です。」

山形:「分かりました。予備金が使えない場合は、建設公債の発行を認めます。」

20、日中の場面

時:大正十三年十二月末某日の午前

場所:烏山頭出張所事務所

人物:八田與一、阿部貞壽、藏成信一、簡吉

烏山頭出張所の事務所。簡吉が彫った一対の人形を與一の机に置く。與一がそれを手に取り眺めている。

與一:「この人形は、顔立ちも体の造りもとても精巧だ。」

信一:「簡吉が持ってきたものです、所長。」

與一:「そうか。では直接お礼を言わなければならないな。」

信一:「簡吉は配達に出ていて、もうすぐ戻ってきます。」

電話が鳴り、阿部が受ける。

阿部:「所長、山形局長からです。」

與一:(受話器を取る)「局長?」

山形:「八田所長、内田総督が予備金支出を承認しました。工事補助金はこの数日以内に下り、全面再開となります!」

與一:(喜んで)「全面再開ですか、それは本当に素晴らしい知らせです!」

阿部と信一も驚き、すぐに喜び合う。

山形:「年末の贈り物と思ってください。頑張ってください。」

與一:「ありがとうございます、局長。」

電話を切る。

與一:「阿部、長い爆竹を買ってきてくれ。信一、人事室に連絡して、解雇された職員たちに通知を出し、全員呼び戻せ。」

阿部と信一:「はい、所長!」

( 創作連載小說 )
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