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ツァイだけは立ち上がると同時に、軽く肩を竦めた。
時事評論兩岸 2019/03/12 20:55:49

ツァイだけは立ち上がると同時に、軽く肩を竦めた。「せっかくだけど私は女子寮だから、方向逆よ」これにハルが悄気た。獣人のツァイよりも明確に、力なく垂れた耳と尻尾が幻視出来る。だ物理治療中心本人は健気にもそれを外に気付かれまいと、必死に平常を装っていた。――――バレバレだが。俺はつい肩を震わせた。だから面白すぎるって、ハル。俺が笑っている間にエートとツァイがハルをフォローし、ハルはなんとか立ち直る。いやもう、本当、面白い。よく向こうで一緒にいるトモダチに言わせると、俺は「素面でも笑い上戸」らしい。ツボは他人とちょっと違うが、一度笑いだすと止まらない。まあ強ち間違っていない気がする。教室のある建物から男子寮までは、10分程度の距離があった。入学式を行った宴武場の方が近い。女子寮は教室棟を挟んで逆側にあるため、男子寮からでは最上階部分程度しか見えなかった。この学園は「学校」の部分も広いが、寮もやはり広い。と言うよりは、高い。高層マンション並の高さに、見上げて思わず感心した。俺は高いところが好きなので、出来るだけ高層階を希望しつつ紙を見やる。紙は「寮」で、「見られた」ことを感知すると、一瞬光を放ってその形状を変化させる。紙飛行機を折ることが出来る硬度のものだったはずの紙は、手のなかでギルドカードに近い材質のカードキーに早変わりしていた。……何気に魔法の構成とか習うのが楽しみになってきた。特に無属性。そう言えば明日は魔力量と属性を計るとか言ってたが、俺に魔力はあるんだろうか。魔力量や属性を計るなんてそれこそ学校か公式ギルドの登録時くらいしかやらないため、入学前の1週間ではこれは結局わからず仕舞だった。明日計ってなかったら、やっぱり騒ぎになるんだろうか。1年過ごさないといけないことがわかったばかりだし、出来れば無用な騒ぎは避けたい所だ。「カレナは何号室でした?」カードキーを見ながらまったく関係のないことを考えてたら、エートに声を掛けられる。聞けばハルは2505号室で、エートは1309号室らしい。俺はそう聞いた瞬間、ハルの部屋に入り浸ろうと決意した。なんせ25階は最上階だ。高くて楽しいに違いない。「俺は1311だな。エートの近く」エートが何者か知るには丁度いい部屋割りだ。建物の配置にもよるが、下手したら隣だろう。

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