東京・北区にあるJR王子駅のトイレの汚水が近くの石神井川に直接流されていた問題で、東京都が2年前に汚水の流入を把握しながら、対策をとらずに放置していたことがわかりました。
この問題は、東京・北区のJR王子駅の南口にあるトイレの汚水が、駅の下を流れる石神井川に直接流されていたというものです。これについて、東京都では当初、今月2日に王子駅の近くで雨水用の下水管を点検した際に、汚水が石神井川に流されていることを初めて把握したとしてきました。しかし、その後確認したところ、現場を管轄する都の下水道事務所が、平成19年6月の点検の際に汚水の流入を把握していたことがわかりました。都では、いったんは新たに汚水専用の下水管を造って汚水が川に流れないようにする工事の設計まで済ませましたが、結局工事は発注されず、そのまま放置していたということです。都によりますと、工事の発注の段階になって現場の地下は電気や電話などの配線が多く、計画のままでは工事できないことがわかったため、発注しなかったということです。その後、この問題について都の担当者の間で引き継ぎは行われず、トイレの使用を停止して汚水の流入を防いだりするなどの対策もとらなかったということです。また、都はJRへの連絡もしていませんでした。これについて、東京都下水道局の今里伸一郎局長は18日の都議会の公営企業委員会で、「まことに申し訳なく情けない話で、地域の皆様や関係者の方にあらためて深くおわび申し上げる」と陳謝しました。