- ハイス鋼 アメリカ製セミステンレス
正式名称ハイスピード工具鋼・粉末ハイス鋼、本来は工具用として作られたものでステンレスではあるが、錆びやすい。 また余りに高硬度なため通常の鋼のように溶鉱炉から延べ板を作りそれを加工するのではなく、 粉末状の成分を型に入れて高温高圧で成型する手法をとる。 硬度はHRC61~63と硬く切れ味は良い。 - D2鋼 アメリカ製炭素鋼
炭素鋼であるがゆえに硬度は硬く切れ味は良い。
- ATS34 日本製ステンレス
日立金属安来工場が生産しているナイフ用鋼材で、世界中でもっともよく使用される鋼材の一つ・ 硬さ・粘り・耐久性のバランスがとてもよい。 硬度はHRC59~61と硬く切れ味も良い。 ただし若干お値段は張る。
- ATS55 日本製ステンレス
日立金属安来工場が生産しているナイフ用鋼材で、ATS-34を改良したもの。 最近開発されたものなのであまり流通していない。
- ZDP-189 日本製ステンレス
日立金属安来工場が生産しているナイフ用鋼材で、ハイス鋼と同じ粉末鋼。 ATS-34には劣るもののハイス鋼よりもはるかに錆びに強い。 硬度はHRC67以上と最高硬度を誇る。 硬度・粘り・磨耗性・腐食耐性…おそらくは今現在ある刃物用鋼材としては究極の特性を持つ。 ただし余りに高硬度なため刃付けが困難で、砥石で研ぐ事もかなり厳しい。
- AUS-6 日本製ステンレス
愛知製鋼が生産している。 もともとは手術用メスに使用されていた。 錆びに強いが硬度はHRC56~58とやや劣る。
- AUS-8 日本製ステンレス
愛知製鋼が生産している。 AUS-6を元に改良されたもの。 錆びに強いが硬度はHRC56~58とやや劣る。 ただしその分加工性が良いので、ナイフ自体も大量生産がしやすく価格的にもリーズナブルなナイフが多い。 入門用として扱いやすいナイフが多い。
- 銀紙1号 日本製ステンレス
日立金属安来工場が生産している。 錆びにとても強く硬度もそこそこあるのでダイバー用ナイフや 家庭用ステンレス包丁によく使用される。
- 銀紙3号 日本製ステンレス
日立金属安来工場が生産している。銀紙1号に炭素を多く加えたもの、硬度はHRC59~61と硬く切れ味も良い。 カミソリによく使用される。 ATS34等この銀紙3号をもとに改良されたもの。
- SK材 日本製炭素鋼
日立金属安来工場が生産している。 鉄鉱石から炭素鋼を作っていく過程での最初の炭素鋼で、焼入れがしやすく硬いが脆い …主に安物の包丁やドリル刃やドライバーなど工具用に使用される
- 黄紙シリーズ 日本製炭素鋼
日立金属安来工場が生産している。 SK材の炭素を少なくした代わりに、粘りを出したもの。 農工具多く使用される。
- 白紙シリーズ 日本製炭素鋼
日立金属安来工場が生産している。 砂鉄を原料とした最高の鉄を原料に不純物を徹底的に取り除き炭素を加えたもの。 日本刀の原材料として使用される玉鋼(たまはがね)に組成的にはもっとも近い。(しかし玉鋼のほうが鋼としては上) 一説には日本の鍛冶職人はこの鋼を使えて一人前とも言われる。 焼きいれは困難だが、硬度はHRC63以上と切れ味は最高クラス。
- 青紙シリーズ 日本製セミステンレス鋼
日立金属安来工場が生産している。 白紙シリーズに調整用元素を混ぜて磨耗性と粘りを出したもの、 焼きいれは白紙よりさらに困難だが、硬度はHRC65以上と切れ味は最高クラス。 特に最高級、青紙スーパーはHRC67以上と他に類を見ない。 ただし非常に高価。
- V金シリーズ 日本製ステンレス
武生製鋼が生産している。 ステンレスだが硬度もありHRC60以上と非常によく切れる。 ただし加工性が悪いので、価格は高い。 高級ステンレス包丁に使用される。
- モリブデン鋼 日本製ステンレス
剃刀で有名な貝印製作所で作られる鋼。 硬度はやや劣るが安価で家庭用包丁によく使用される。 またアメリカのカーショウ社のナイフはこの貝ブランドの鋼を使用している。
- SUS-440C アメリカ規格のステンレス
SUSという名前は国際基準の意味もある。 錆びに強い刃物用ステンレスとして有名。 ただし硬度はHRC57~59とやや劣る。 その分加工性が良いので、ナイフ自体も大量生産がしやすく価格的にもリーズナブルなナイフが多い。AUS8とよく似た性質。
- 154CM アメリカ製ステンレス
もともとはジャンボジェットの車輪のベアリングに使用されていたもの。 硬度はHRC59~61と硬く切れ味も良い。 ATS-34と同様の性能を持っている。
- スウェーデン鋼 スウェーデンで生産されるステンレス。 ステンレス包丁に用いられる。
- フェニックス鋼 イギリス製のステンレス…あまり一般的ではない。
- ダマスカス鋼 厳密には鋼の名称ではなく、古来より中東・ヨーロッパより伝わる製法から来る名前。
高温の2種類の鋼を何度も折り畳み叩き上げた鋼で出来上がりは独特の紋様が浮かび上がる。 一般にはニッケルと炭素鋼を混ぜて叩き上げるものが多い。 鍛造法によって鍛えられた鋼であるが一種類の鋼のものよりとても丈夫でしかも粘りがある。また切れ味も良い。 また炭素鋼材であるのに錆びに強い。 これはダマスカス独特の特徴で、未だに謎とされている。
優れた切れ味とその維持、研ぎやすく、錆びない包丁を求めて、 古来からの鋼に加えて、新たにさまざまな合金類が開発されています。 それらの長所、短所を知れば、包丁の選び方にも参考になります。 +マークはその性質が増します。-マークは少し低下です。 例、白紙1号は白紙2号より(靱性- 硬さ+)ですから靱性(粘り)はなくなりますが、硬さは増します。 | | | | | 青紙スーパー | | | | | ↑C,Cr,W量増加特殊溶解 (焼入性、耐摩耗性+研削性-) | | | 青紙2号 | → C量増加 (靱性- 硬さ+) | 青紙1号 | | | ↑W,Crの添加 (焼入性、耐摩耗性+研削性-) | | | 白紙3号 | ← C量低下 (靱性+ 硬さ-) | 白紙2号 | → C量増加 (靱性- 硬さ+) | 白紙1号 | | | ↑(不純物低減) | | | 黄紙3号 | ← C量低下 (靱性+ 硬さ-) | 黄紙2号 | | | ↑(不純物低減) | | | JIS SK材 | | |
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